朝食を取り終えた私は、
隼斗さんと共に離れへと。
「ゆの」
「はい」
「……悪い、着せて貰っていい?」
「えっ?」
隼斗さんは襦袢姿で苦笑い。
「どうかされたんですか?」
「………」
腰に左手をあて、右手は髪を掻き乱した。
……もしかして、緊張で?
いつもと変わらぬクールな顔つきだけど、
少しばかり青白いかな?
私はそれ以上、聞き返す事無く……。
「はい、もちろんです」
彼の後ろに掛けられている着物を手に取り、
彼の肩口へとそっとあてた。
家元といっても、お越し下さるのは
ご隠居や大御所様のご友人ばかり。
そんな方々相手に緊張しない方がおかしい。
私は彼の妻として、
出来る限りの力に……と、改めて実感した。



