家元の寵愛≪壱≫



「隼斗さん」

「ん?」

「大丈夫ですよ」

「ん?」

「頼りないかもしれませんが、私がお傍にいますから」

「……フッ」

「1人で心細くても、2人なら……きっと大丈夫です」



私は彼を安心させるように、

優しい声音で囁き掛ける。


すると、


「……だな」


隼斗さんは私の肩におでこを乗せて、


「ありがとな……ゆの」


ぎゅ~~~っと抱きしめられる腕に、彼の深い愛を感じた。



ふと、緩められた腕の隙間から彼を見上げると、



「フッ、俺のお礼は倍返しだから」

「ふぇッん!!////」


熱を帯びた彼の瞳に捕らわれて

聞き返す間もなく、熱く唇を塞がれた。



口角をキュッと上げた彼の表情は

いつも、意地悪する時の顔で、

私は一瞬で身の危険を感じた。



だって、明日は『初釜』なのに

きっと、このままだと………。


歩くことすら儘ならない??