仕方がない……そろそろ出るか。

俺は恍惚したゆのの首筋に

小さな紅い薔薇を散らして。


「ゆの、そろそろ出るぞ」

「ふぇっ?」


蕩けた表情のゆのを抱き上げ、

俺らは浴室を後にした。




オシャレな服装に着替えた俺ら。

夕食を取りに本館へと。


可愛らしいレストラン風の食堂は

クリスマスの飾りが賑やかに施され

夜という事もあり、

間接照明とキャンドルのみの

薄明かりの装いになっていた。


「きれ~~い!!」


瞳を輝かせ、うっとりするゆの。

昨日は薄明かりでは無かったから感動も一入。


そんな彼女の手を取り、案内され席に着く。



綺麗に盛り付けられた料理を堪能する俺ら。

ゆのは黒鮑のロティ 黒大根と冬野菜添え

アムール貝のエッセンスとコライユソースが気に入ったようで。