軽く伏せた目は悲しみの色をたたえている 「けど………橘には…圭には渡したくねぇからつい…その…な」 口ごもる杉山に少しだけ驚いた こんな口の悪い奴でも顔を朱に染めることもあるのかと それよりも 「…そんなに怒ってないよ」 あんなことで怒って無視をした自分が子供っぽく思えた 「………でも、あんなのはもう止めてね?」 「………」 「あたし…嬉しくなかったから」 それだけ伝えてまだ生徒がまばらな廊下にあたしは姿を消した