その人だかりの中に友人の杏(あんず)がいるのが見えた。

「杏~…」

ホロホロと動いていけば杏が笑いながらあたしの方に振り向いた。

「おはよ~」

「おはよ、この人混みは何?」

「……確か、一斉点検だったと思うよ」

「あぁ、なるほど…」

でもそれにしては人が多くない?
集まる一方で全く進まないし…
いい加減痺れを切らして、声を出そうとした時だった。

「圭かっこいいーっ!!」

「………」

もぅ事の次第を良く理解出来た。