吐き捨てるようにそう言うと、永輝くんは家を出て行った。


昔は何でも僕に話してくれた。

それなのに今は、何も話してくれない。


何かあった時、いつも僕の頭を撫でるのが癖だった永輝くん。

それは僕が高校生になってからも変わらなかったのに。

最近はそれもなくなった。



――ねぇ、永輝くん。

姉さんはどうして来なくなったの?

永輝くんが変わったように見えるのは、僕の気のせいなのか?

あの夜、啓介さんと何を話したんだ?


女ができた?と突っ込んだ時の、あの『間』……。

図星だから、言葉を返すのに時間がかかったんじゃないのか?

女ができたんなら、姉さんはどうなるんだよ。


あの姉さんが……、黙って引くはずなんてない……。