短志緒


助けを求めるようにもう一度キスをする。

健吾は唇で訴える。

私が欲しいと。

欲しくて苦しいのだと。

その苦しみから解放されるための手段はちゃんとわかっている。

でも、ジャッジは私に託すのだ。

「あたし、まだしたことないの」

ここでGOサインを出せば、私にとって健吾が初めての男になる。

でも、健吾はきっと……

「俺だって、まだ」

本当に?

それじゃあ、ここでGOサインを出せば、私が健吾の初めての女になるってこと?

美男美女がおあつらえ向きなクリスマスイブに二人きり。

申し分のないシチュエーション。

「あたし、とうとう女になるの?」

「俺で、良ければね」

梨香が嫌なら無理矢理したりしない。

そんな優しさが余計に私を煽る。

あんた、彼女には冷たいんじゃなかったの?

衝動に耐えられなくなった私には、拒否する理由なんてどこにも見つからなかった。

「優しくしてくれる?」

「もちろん、できる限り」