短志緒


高校1年目の冬、2学期が終わろうかという頃のこと。

教室で英語の提出物を片付けていた私は、部活帰りの健吾と帰りの駅で遭遇した。

「おっす。寒いな」

「寒いねー。凍りそう」

「もうすぐクリスマスだな」

「当日は補習よ」

「夢の無いことを言うなよ」

互いに彼氏彼女がいることは認識している。

私は同じ学校の先輩。

健吾は他校の同級生。

クリスマスはその彼女と過ごすのだろうか。

「だってホントのことだし」

「その後彼氏と会うんだろ?」

「さぁねー。最近うまくいってないから」

健吾との仲を疑われて、とは言わないでおく。

言う必要もない。

これは私と彼氏との問題だ。

「あーマジで? 俺もうまくいってないけどさ」

「ふーん。そうなんだ。お互い大変だね」

と気のない返事をしたが、本当に大変なのは彼女だったようだ。

健吾は付き合ったところで冷たいのだと、何人か前の彼女に相談されたことがある。

結局その子とは、健吾が別の女を作ったのをきっかけに別れてしまったけれど。