果たしてこの回答は正解だったのか。
「そうか」
親父の反応だけではわからなかった。
彼女と結婚したい。
家庭を築いて子供を何人かもうけて、
慈しみたい。守りたい。
俺の育った家庭は荒んでいたから、
温かい家庭というものに強い憧れがある。
そんなの、俺には無理だ。
かつてはそう思っていたけれど、その可能性を信じさせてくれたのが彼女だった。
彼女を愛したい。
彼女に愛されたい。
この親父に似て無愛想だけれど、
たまには笑って欲しい。
タイプでもなんでもない彼女を好きになったきっかけなんて忘れてしまったけれど、
言い寄ってくる女がどんなにイイ女でも
その女に夢を描くなんてできなかった。



