短志緒


背が伸びて以降、健吾はモテた。

私もそれなりにモテた。

私は基本的に年上のスポーツマンしか相手にしなかったけれど、健吾は年上年下同い年、あらゆるタイプの女と浮き名を流した。

中学時代の恋愛なんて、たまに一緒に遊びに行ったり部屋でまったりしたり、たまに気分が高まったときにキスをするくらいだ。

健吾はどうなんだろう。

キス以上のこと、したのだろうか。

まさかそんなことを聞けるわけもなく、ただ何となく思春期における好奇心として、健吾のことが気になった。



そして高校に入学。

健吾の身長は私より10センチ以上高くなった。

彼の顔を見上げて話すことも当たり前になって、もう小学生の頃のように声を張ってからかい合うこともない。

「まーた健吾と同じ学校?」

「こっちの台詞だっつーの」

その代わり、こうして地味に昔の感覚をつつき合う程度。

健吾はいつまでも友達だと信じてやまなかった。