男はみんな私の顔を見るなり、デレデレしたりソワソワしたりする。

女はそんな私を羨望の眼差しで見つめるか、妬んで嫌悪を露にするかのどちらかだ。

だけど、デレデレもソワソワもしない男がたった一人だけいる。

小学校からの腐れ縁で、中学、高校と同じ学校に通った幼馴染み、橋本健吾だ。

小学生の頃はとにかくチビで声が高く、断トツで幼かった彼を

「チビ健吾」

とからかうことでコミュニケーションを取っていた。

彼がそれに対して悔しそうに言い返してくるのを見下ろすのが快感だったし、周りもそれと同じように彼に接していた。

真ん丸な目を持つ彼は本当に可愛らしくて、同級生というよりは弟のよう。

健吾は圧倒的に美しい私にも臆することなく

「うるさいバーカ!」

などと噛み付いてきたし、他の男の子のように私に淡い恋心を抱いているような素振りも全くなかった。

だから、健吾とは中学に入っても、心地の良い友達関係を続けることができたのだ。