短志緒


二人で電車を降りると、夏の日差しが二日酔いの二人を締め上げる。

「それ、眩しい」

彼女の手が伸びてきて、いつの間にかシャツから出ていた俺のネックレスを中に収めた。

光が反射していたらしい。

「毎熊さんのネックレスのほうが眩しいから」

別れた男からもらったというダイヤモンドのネックレスは、悔しいがよく似合っている。

「じゃあこっち見ないで」

「うわ、自己中……」

まだ未練があるのかもしれない。

そう思うと余計に自信がなくなる。

「ちょっと前までネックレスとか付けてなかったじゃない。なに急にチャラけてんのよ」

別にチャラけているわけではないのに。

彼女がこれを話題にしたら、その時に告白しようと決めていた。

一緒にいる間は興味を示さなかったのに、よりによってこのタイミングかよ。

「毎熊さんに、あげようと思って」

「は? 自分で付けちゃってるじゃん」

「いや、そうじゃなくてさ」

でも、やっとこの時が来たのだ。

俺は立ち止まり、首に巻いていたチェーンを外す。

「別に、外さなくてもいいから」

「外さないよ」

「外してんじゃん。意味わかんない」

「ねえ、毎熊さん」

「何よ」

そのチェーンに通して巻き付けておいた二つの指輪を掌に転がす。