翌朝、案の定彼女は混乱していた。
バーで酔い潰れていたことも、俺がここに運んだことも覚えていなかった。
せっかくのラブホテルだが何もすることなく、
ただ毒づきコーヒーを飲んでチェックアウトした。
関係を絶った気まずさと二日酔いのダルい雰囲気を引きずり駅へと歩く。
「毎熊さん、これからどうするの?」
「家に帰るけど」
「そうじゃなくて、仕事とかだよ。ていうか、どうしてやめちゃったの」
彼女は黙ってしまった。
「言いたくないなら聞かないけどさ、もしかして俺のせいで落ち込んじゃったかなぁと思って」
彼女はやっぱり黙ったままだった。
拗ねた表情は図星の証拠だ。
「はぁ……マジかよ」
「別に、そんなんじゃないから。勘違いしないでよ」
嘘ばっかり。
わがままで自己中な上に、強がりときた。



