短志緒


これは最後の賭けだった。

もしこれで彼女が自分をちゃんと理解し、尚且つ俺という存在がいかに彼女とちゃんと向き合っているかを理解してくれたら、何かしらのリアクションがあるはずだ、と。

そしてその時は、ちゃんと気持ちを伝えよう。

そう思っていた。

伝わるだろうと信じていた。

しかし、最後の賭けも結局俺の惨敗だった。

この直後に、彼女は会社を辞めてしまった。

リアクションどころか目も合わせてくれないまま。

結局俺の真意も気持ちも伝わらなかった。

俺の言葉のせいで落ち込み、傷つき、俺を嫌ってこの会社を辞めてしまったのではないか。

そんな罪悪感があったけれど、それを確認することも謝ることも叶わずに。



ああ、これで本当に最後なんだな。

もうきっと会うこともないんだな。

結局、俺は彼女の何だったんだろう。

やっぱりただの浮気相手でしかなかったのか。