短志緒


「そんなことないもん」

驚きつつ食って掛かる彼女は、困惑した顔をしていた。

「自分のこと、わかってないなら教えてあげるよ」

「何をよ?」

「毎熊さんの魅力は、その顔とちょっとエロいとこだけ」

彼女の目に涙が滲んで、抱きしめたい衝動に駆られる。

でも、今はダメだ。

ちゃんとわからせるまで我慢だ。

「だけって……」

「自分がどれだけイイ女だと思ってるか知らないけど、アンタ、テレビで見るくらい典型的な嫌な女だよ」

言い過ぎであることは百も承知だ。

だけどここで言っておかないと、もう一生機会がないかもしれない。

「でもまぁ、ヤれる男くらいなら、合コンですぐに見つかるんじゃない? でも結婚をほのめかせば、きっとまた逃げられる」

だから、ちゃんと考えて俺を選べば良い。

それでも君を大事にしてきた俺の気持ちに気付けば良い。