短志緒


自分で言うのもなんだが、俺はとても穏やかな男だ。

だけど、男なりのプライドは持っている。

それでも彼女が望むならと、都合の良い存在に甘んじていたのは認める。

だからこそ彼女が逆プロポーズを決意したとき、彼女のためを思ってその関係を終わりにしたというのに。

それを今更、彼女になろうかな、なんて。

そんな軽い気持ちで、どうせ次までの繋ぎにでもするつもりなんだろう。

俺は心から君のことが好きなのに。

「は? 冗談やめてよ」

散々傷つけられてきた。

「毎熊さんみたいな性格悪い女、俺、無理だし」

君も少しくらい、俺のせいで傷ついてしまえば良い。

「何よ、それ」

いい加減気付けよ、馬鹿浮気女。

「だってそうじゃん。外面は良いけど、文句ばっかだし。何事も自分が一番だと思ってるし」

そんな女、俺以外に扱えるわけがない。