短志緒


滝の音が、一瞬全く聞こえなくなった。

「へ……?」

今の、聞き間違いなんじゃないだろうか。

「ちょ、え、どういう意味?」

周りがうるさいから都合のいいように聞こえただけなんじゃないだろうか。

レイヤはあたしをしっかり見据えて、

ゆっくりハッキリ言った。

「結婚しよう」

レイヤの顔が滲む。

「けっ……こん……?」

滝のように溢れてくる涙。

結婚?

あたしとレイヤが?

別れるんじゃないの?

新しい飼い主がいるんじゃないの?

「別れるって……言われると、思ってたのにっ……」

「泣くなよ。別れるわけないじゃん」

「だって、最近……あんまりうちにも来なくなったし、連絡もくれないしっ……」

「ああ、それは」

レイヤは照れ臭そうにはにかんだ。