短志緒


「大げさやわ」

呆れた台詞の裏の寂しさに、

きっと彼は気付いていない。

荒んだ実家を捨てて今の家に居残って、

何人かいた友達も都会の方に出ていってしまった。

あたしは一人ぼっちだった。

三年前に再会して、拾われたのはあたしの方だったのだ。

そして今、捨てられようとしている。

今更気が付くなんて、バカだった。

「本当だって。俺、あのままだったらたぶん今頃地の果てまで落ちぶれてたと思う」

「地の果てって、アホちゃうか」

「ちゃんと卒業する気になったのも、サキのおかげ」

「あっそ」

もっと早く気付いていれば、

もっともっとレイヤとの時間を大事にできたのに。

レイヤはどんな言葉であたしを捨てるのだろう。