短志緒


レイヤはハッとしてあたしの方を見た。

目が合ったけど、あたしはすぐに逸らしてしまった。

真っ直ぐに受け止める自信がなかった。

こんなところで無様に泣きたくない。

「サキ」

一旦呼んで、また黙る。

もったいぶらないでほしい。

「サキ、こっち向いて」

嫌だ。嫌だよ。

だけどレイヤの手に無理矢理顔を動かされる。

「俺、サキに救われたんだ」

やめてよ、今更感謝の言葉なんて。

お前なんか飽きたんだよって。

もっと可愛い子見つけたんだって。

もう来ないからって。

冷たく言ってくれた方がましなのに。

滝の音のせいで聞き取りにくいから

レイヤは恥ずかしげもなく大きな声を出す。