短志緒


約10十分歩いて辿り着いた懐かしい景色。

あの時は確か老夫婦がいたくらいで、

大して観光客もいなかった。

しかし休日である今日は、ちらほら人の姿があった。

「懐かしいなー、ここ」

やっと言葉を発したレイヤは気持ち良さそうに両腕を伸ばす。

「ほんまやなー」

そう返し、二人で叫んだ手すりのところへ移動した。

当時は自分がヤンキーであることを主張するようなダサいジャージを着ていたけれど、

今は爽やかにTシャツとジーンズだ。

いかにもキャバ嬢やってますと主張するようなメイクだったあたしも、

今は年相応なナチュラルメイク。

あれから6年の間にあたしたちはすっかり大人になっていた。