顔も性格もそっくりな父娘は今、 ゆっくりゆっくり俺の方に向かっている。 もどかしい。 もっと速く歩いてきてほしい。 早く彼女を、俺に。 ヴェールが光を反射して顔が見えないのももどかしい。 早く捲ってしまいたい。 俺の前で足を止めた二人。 やっとこの時が来た。 彼女の腕が親父から離れ、 俺の腕に絡む。 全てがスローモーションに見えた。 きゅっと握られた部分から愛が溢れる感覚がする。