短志緒




この男は、相変わらずパソコンが苦手だし、辛いものも苦手だ。

ホラーも苦手だし、財布に金が入っていないこともある。

「彩子!」

笑って手を振りながら走ってくる、ちょっぴり頼りない、私だけのヒーロー。

今では私を「彩子」と呼ぶ、大好きな私の彼氏。

「俊輔、どうしたの?」

「気づいたら財布に107円しか入ってないんだよ。千円貸して」

「はぁ? 下ろせばいいでしょ!」

「今から下ろしたら手数料かかるだろ。もったいない」

「はあぁぁぁ?」



一見頼りない男だけれど、いざとなったら絶対に私を助けてくれる、頼りになる男。

彼のそんな一面を知っているのは私だけなのだ。





fin.