「あのさ、真奈美」
俺が呼び掛けると、気の抜けた返事が返ってきた。
「んー?」
「明日、真奈美の部屋着、買いにいこうか」
俺の部屋着は、真奈美には大きい。
「えー? 部屋着?」
「ちょうどいいの買って、うちに置いとけばいいだろ」
付き合い始めてしばらく経つが、うちにはまだ真奈美の私物などほとんどない。
歯ブラシと防寒用ブランケットくらいだ。
着替えも毎回家から持ってくるし、化粧品の類いもわざわざ携帯している。
荷物になるんだから、化粧品は同じものを買ってうちに置いておけばいいのに。
そうすれば、疲れていてもうちに来やすく……
「いい。いらない」
真奈美はハッキリそう答えた。
マジかよ。
俺の部屋には、私物など置きたくないということ?
それとも、今後も私物を置かねばならないほど頻繁に来るつもりはないということか?
俺はおそるおそる尋ねてみた。
「なんで?」
すると。
「すー……すー……」
こんな時に、眠りやがったよ!



