短志緒


次に来たときは、休みの前日だった。

「マンガの続きが読みたいの」

俺に甘えたくて来たと言ってくれたら、

いつも以上のお姫様待遇でもてなすつもりだった。

入りなよという言葉をぐっと飲み込み、

「はい。次は3巻だったよね」

と本を差し出す。

「……あ、うん。ありがとう。またね」

この部屋で俺と過ごしたいと言ってくれたら、

休日全ての時間を彼女のために費やすつもりだった。

でも、彼女はマンガを受け取って、

歩いて2分のところにある自宅へと戻っていった。



また、ズキリと胸が痛んだ。



でも、痛んだ分だけ余計に冷たくしたくなる。