短志緒


横になった彼女の肩にかかった髪をさらっと背中の方へ流す。

そのタイミングで、彼女が俺の体に細い腕を巻き付けた。

いとおしい。

狂おしいほどに。

俺が付けてしまったいくつかの大きな傷。

その全てを癒したい。

「真咲」

「んっ……」

与えてしまった痛みの何倍もの快感を与えたい。

「好きだよ。愛してる」

「あっ……」

聞かせてしまった悪態の何十倍もの愛を囁きたい。

俺が聞きたい言葉が返って来なくても構わない。

普段はぶっきらぼうな彼女だけど、

特別なときにだけ見せる照れた顔が見られれば。

こうしているうちに、

いつか素直に笑ってくれるようになりますように。