なんだか信じられなくて、失礼だと思いながらも、あたしは思わずそう言っていた。



「そうだけど…引っ越しのことは、あの子から言いだしたの。昔から言いだすときかなくて……。

この前もそのことで話し合いましょうって言った翌日に、病院に行くことになって……正直言うと、あたしも板挟みで辛いのよ。

主人はみんな一緒に住んだ方がいいって言うし、あの子は別々に住みたいって言うし……」




松本さん……本音なのかな……。



ガマンをするような子だったら……お母さんが再婚するって知って、ガマンしないわけない……。



そうは思うけど、妊娠中の体に負担をかけるわけにもいかないし、こんなことはあたしが口出す問題でもない。




「あたし……それとなく、松本さんに聞いてみます。だけど、あたしと会ったことは言わないでもらえますか?」




「ありがとう。わかったわ、言わないでおくわね」










あたしは一礼したあと、すぐに部屋を出ようとした。



そして一瞬踏みとどまる。