「あら…そうだったの!?ねぇ、あの子の彼氏ってどんな人?家がおとなりってことは、幼なじみとかそういう間柄かしら」



松本さんのお母さんは、なんだか嬉しそうに聞いてくる。



「幼なじみ…です。学校でも人気があるし、性格も明るくて頼りになるし…いいヤツです」



なんだか彼氏自慢みたくなってるけど、今はあたしの彼氏じゃない設定だからね。



「そう…伊織くんって言うのよね。名前だけあの子から聞いたの。

頼りになるんだぁ……それを聞いて安心したわ。

実はね、もうすぐ私と主人だけ引っ越しする予定なの」








「引っ越し……ですか?」



「そうなの。赤ちゃんがいると勉強に集中できないし、これから受験も控えてることだし、なにかと困ることも多いって、あの子が言うから。

だから、新しく部屋を借りようかと思ってて」



「そんな……松本さんを残して……ですか?」



「あの子が言うんだもの…残念だけどしょうがないわ。一緒に住めればその方がいいんだろうけど…」



「え……でも、キレるとか…ガマンする子だって、さっき言ってましたよね……」