「だって、好きなんだもん。このまま引き下がれないよ」


「そこ、もっと後ろ向きでいこーぜ?めちゃくちゃ前向きじゃん……」


「伊織くんだからだよ……だって、あたしが来てって言ったら、何度も来てくれた。

初めてなの……こんな風にしてもらえたの……」


そう言って、震えそうな声をあげて俺にしがみついてくる。







……勘弁してくれよ。


やっと彩花と仲直りしたのにさ、


またモメそーな気がしてきたぞ?


「面倒に巻き込むなって。俺は、彩花に言われなきゃ……」


「…………」


松本は黙って俺にしがみついてる。


「彩花に言われなきゃ、お前なんか、気に留めるわけねーじゃん。触んなよ」


ちょっとキツい言い方かもしんないけど、強引に松本の腕を引きはがすと、


俺は、急いでベンチから立ちあがった。