勢いよく振りむこうとしたら、伊織に頭を抱きかかえられ、振りむけなくされた。



「おいお前らさー、さっさと帰れって。すげーのできねーじゃん!!」



す……すげーのって!?



真赤になるあたしをそっちのけで、伊織はいつもの調子で話し続ける。




「彩花の誕生日だし、これからふたりっきりで過ごしたいから。邪魔すんな」



そしたら後ろから、松本さんの声が聞こえてきた。



「みんな、行こ行こ。他人のキス盗み見るなんて悪趣味だよ~?あ~、あたしも彼氏欲しいな~」



なんて言ってる。



や……やっぱり、みんなまだ見てたんだ……。







伊織の腕がフッと緩んだから、恥ずかしながらもチラッと振りむくと、




なんだか悲しそうな目をしている朝野くんと目が合った。



ドキッ……。