「朝野……しぶといからな。頑張れよ、伊織」


上月は事情を知ってか、知らずか、俺に哀れみの目を向けてくる。


そこで小菅が思い出したように指を鳴らすと、俺のとなりに腰掛けてきた。


「俺黙ってたけど。一昨日さー、朝野と越野……一緒に帰ってたぞ?」


「お前俺と一緒だったよな。いつ見たわけ?そんな嘘……」


「嘘じゃねーって。レンタルショップ……赤松がDVD選んでるときに、下の本屋で会った。

ふたりで仲良さそーに、雑誌読んでたぜ?」


仲良さそーに?


彩花……朝野とメールしてただけじゃなくて、やっぱり会ってたんだな。


俺にバレなきゃいーと思ってる?






「縛れば縛るほど、逃げてくぞ?つか、普通それは女の役目なんだけどな?」


上月がニヤニヤして俺を見てくる。


「……んだよー。女々しいって言いたいのかよ」


「そこまで言ってねーけど。朝野はサッパリしてるからなー。伊織より、よっぽど男らしい」


うっ……ますます俺、部が悪いし。