「ああ…あたし、伊織のこと叩いちゃった……」



手がジンジンする。



伊織も、痛かったんだろうな……。



今までムカついても手が出ることなんてなくて、なんだかさっきはカッとなって思わず……。



「赤松くんのこと叩く女の子、初めてみた。越野さんって見かけによらず、強いよね…。

謝ってこなくて大丈夫?」



「うん…伊織とは昔っからケンカばっかりだし、幼なじみだから…こんなもんだよ?

家に帰ったら、お互いもう忘れてるとかね…」



「へー、そうなんだ!?なんか、家族みたいだね!ウチもお兄ちゃんとよくケンカするんだけど、家に帰ったら忘れてたりするよー」



家族……。



まぁ、似たようなもんなんだけど。



改めてそう言われると、違うんだけどって言いたくなる。