~彩花side~


伊織に突然キスをされて、あたしの頭は真っ白に。


優しくて、甘いキスになにもかも溶かされていく。


あたし、意地っぱりだなとか、


もっと他に言い方あったよね……とか、


キスの最中にそんなことを思う。







だけど、いったん唇が離れると……。


「バカ……」


恥ずかしくて顔を背けるだけに。


「俺、下行って話つけてくるな」


伊織はなんだか満足そうな顔を見せると、そう言って部屋を出ていった。



キスの後でドキドキしてるのと、恥ずかしい気持ちでいっぱいで、なんだか動揺してる。


……はあぁ。


伊織が出ていったあと、ため息と共に、一気に体の力が抜けた。


あたしは床にへたりこみ、側に置いてあったクッションを抱え込む。







……どうしよ。


あたし、こんなことしてる場合じゃないのに。


松本さん……大丈夫かな……。