~彩花side~



帰りの車の中で、伊織はいつも通りだった。



昨日のキスや、今朝のキスなんて…まるでなかったかのように。



…どうしてあんなに普通にしてられるの?



あたしは……伊織の側にいるだけで、かなりドキドキしてて…それを隠すのに必死だった。



伊織にキスされる度に、真っ赤になっていくのがわかって…それが無性に恥ずかしい。



そんなあたしの反応を楽しんでるのか、伊織はなんだか嬉しそうだった。



……あたしばっかり惑わされて、なんとなく悔しい。









……実は昨日、あんまり眠れなかった。



目を閉じると伊織の顔が浮かんできて……。



あたしちょっと、伊織を意識しすぎてるのかもしれない。