どんな怖い話が待ってんのか、聞くまで構えてしまう。



もったいぶらず、さっさと話せよ……。



「あのね……実は…。ウチ、母子家庭なんだけど…母親が仕事で昼中家開けてるのに、母親の彼氏が家に入り浸ってて…。

つまり、ヒモなんだけど…。ソイツが……あたしを見る目がキモいっていうか…なんか、最近すごく…怖いの……」



……へ?そんなことかよ!!



「マジ?もっとホラー的な話かと思ったって!!そんなん言われたら、俺にはどうしようもねーしな。けど、相手が人間なら、大丈夫じゃね?」




「伊織くん……大人相手って怖くない?それに、面倒なことに巻き込まれたって…思わないの……?」



「面倒……うーん、そーだな……。けど、別にいいぜ。彼氏のフリすればいーんだろ?」



ホントにそう思っただけなのに、松本はえらく感激してる。



「ありがとうっ……伊織くん……」



そしてまた、ギューッと抱きつかれた。