「そうなんだ…あたし、ちょっと移動したの」



「は?危ねーから動くなっつっただろ?」



「だって……トイレって居心地悪いし……」



「知るかよっ!!もしなんかあったらどーすんだよ。そーいうときは、俺が行くまで待ってろよ」



イラッとしてついキツい言い方になってしまう。



「だって……ホントに来てくれるって、思わなかったの……。

伊織くんには、彼氏のフリお願いしただけだし。そこまであたしのこと構ってくれるなんて……」



……呆れたヤローだ。



そう思うのは勝手だけど、実際俺はさっき電話で『待ってろよ』って言ったわけだし。



それなのに、疑ってたなんて……。