松本の背中に軽く手を添えると、顔を上げて嬉しそうに微笑んでる。



……なんか、かわいいよな。



「さっきはすぐに帰りたそうだったけど……放課後まで待つ?」



「うん。ホントは、アイツと時間ずらすためにすぐ帰りたかったの。

家の前まで来るから、先に伊織くんと家で待ってて、話してもらおうかって思ってて……」



「ふーん……ま、俺はどっちでも?」



「じゃあ、今から……ウチに来て欲しいな」



今から……。



まあ、しょうがねーか。



「このまま帰るか。カバン取りにいくと、ややこしいよな」



「定期がない……」



「俺、ちょうど財布持ってるから。ケータイは?」



「持ってる……。特に貴重品はカバンに入ってないし、伊織くんの言うとおりにしようかな」