幼なじみと付き合った場合。

考えるより先に俺は走りだしていた。



小走りで駆けていく松本の背中にすぐ追いついた俺は、松本の腕を軽く引っぱった。



「おいっ、なんで泣いてんだよ」



「放っといて」



俺の手を振りはらうかのように腕を振りまわすけど、俺は松本の腕を離さなかった。




「……放っとけねーよ。俺の……せいか?」



俺の言い方がキツかったのか。



それとも、なんかデリカシーのないことでも口走ったのか……。



「そんなんじゃない……っ。ホントになんでもないから」



松本は俺から顔を背けると、手で目の下を拭っていた。



……メイクが崩れて目の周りが少し黒くなってるから、それを気にしてんのかも。