「彩花には言ってなかったけど、今…気になってる子がいる。

だけど彩花を目の前にしたら……ついキスしちまって」




「えっ……」




「お前には……朝野がいるじゃん?今日のは、ちょっとした出来心。ゴメンな?」




そう言って柔らかく微笑み、彩花の唇にそっと人差し指を押しあてる。




「嫌だよ……伊織、そんなこと言わないで……?」










切なそうに顔を歪める彩花を、今すぐこの手で抱きしめたい。




だけど……今が、俺の踏ん張りどきだ。