幼なじみと付き合った場合。

「朝野くんはどうしてウソをついたの!?伊織が助けたなら、そう言ってよ。

あたし……朝野くんのこと、命の恩人だと思ってた……。

しかも、キスされたって思ったら……余計にドキドキして。だからあたし……」




確かにあのとき朝野が助けたことにして、




さらに松本にも、朝野と彩花が付き合いやすいようにフォローしてやってくれって頼んで、




彩花の今後の方向性を定める手伝いをしたわけだけど。




だけど……




彩花が朝野を選んだのは、それだけが理由じゃないだろ?










「あのね…あたし……やっと気がついた……。

今日だって、ホストの伊織にめちゃくちゃドキドキしてたの…わかった?」




すぐわかったって。




彩花は……押しに弱いもんな。




俺はなにも言わず、唇に弧を描いたまま彩花の頭をそっと撫でる。




「それにね……さっき…キスされて……嬉しかった」




か細い声で囁きながら、物欲しそうに動くその唇に、




また、触れたくなる衝動を押さえて……




俺は彩花の体を、そっと…押しかえした。