伊織は座ったまま足を開き、少し屈んだ体勢で膝の上に自分の肘を置いて頬杖をつく。




そしてそのままジーッとあたしを見てくる。




……うっ……伊織の視線が痛い……。




あたしは未だ伊織の方を見ることができず、テーブルの上に置かれたチョコボールを凝視していた……。




「最近の俺の楽しいことはー……」




ドキッ。




そういえば、伊織の近況は……不確かなことしか知らない。




ここ最近は、周りから入ってくる情報ばっかりで、直接本人から聞いてないから、




その噂がホントなのかどうか、わからないんだよね……。











「夏休みに新しいダチがたくさん増えて……。

知らないと思うけど、バイトを始めて~、遊んだりバイトしたりの毎日で、結構忙しくやってます」




そんなの……知ってるよ。




お母さんからも聞いたし、クラスの女子も噂してる。




伊織の話題は嫌でも耳に入ってくる。




だから…知ってる。




だけどあたしはなにも言うことができず、ただジッと伊織の話を聞いていた。