「どうぞ」



伊織はあたしの口もとにストローの先を持ってきて、軽く咥えさせた。




されるがままに、チューチュー吸ってる自分がなんだか情けない……。




「なんか食いますか?」



……あくまで敬語なんだ。



なんだかその余所余所しさに、寂しさが募る。



「いらない……」



そういうあたしは、タメ口。



ストローから口を話したあと、いつも伊織に話すみたいに、喋ってしまう。



そうすれば、伊織もまた砕けて話してくれるのかななんて思ったり。









「じゃー…世間話でも……」



……なんなの、それ。



あたしは思わず吹きだしそうになったけど、ここで笑っちゃいけないと思って、そのままグッと堪えた。