「や……もぉ、そんなのダメダメ!恥ずかしいから、やめてぇ~」




「なんでだよ~。付き合ったら、お姫様抱っこいっぱいしてあげるよ。もっとギューッとしたいし…」




あわわわ……。



「あっ……朝野くん…」



恥ずかしくて動転するあたしとは対照的に、朝野くんはやたらと落ち着いている。



「俺、付き合ったら…いや、付き合う前もだけど。彩花のこと、めちゃくちゃ大切にするよ」


ドキッと心臓が大きく跳ねる。


朝野くん…優しいもんね。


伊織とは、付き合っててもケンカが多かった。


朝野くんとだったら…


付き合うのも楽しそう。






ボーッとそんなことを考えていたら、通路の向こうを歩く集団が目に入ってくる。


あ…


伊織だ。



複数の男子に囲まれてても、すぐに目に入ってくる。



伊織はコッチに気づくこともなく、そのまま自分の部屋へ入っていった。