「う…んと。もう少し考えてもいいかな……ゴメン。さっき借りてたジャージ、持ってくるね」



「あ…うん、わかった」



朝野くんは強く出るわけでもなく、微笑むとあたしが部屋に入るのを見送ってくれた。



部屋の中に入り、ジャージを手に取る。



小さくため息をつき、部屋を出た。











「これ……ありがとう。あたし、溺れるなんてホントドジだよね…」



「ううん、落ちる瞬間に助けられなかった俺も悪いから……っていうか、俺が手ぇつながなかったら、あんなことにならなかったし」



「そんなことないよ」



「でも…彩花って、軽いよね。さっき抱きあげたとき、ビックリした」



「えーっ、全然軽くないよ!?」



抱かれてたときのことを思いだして、あたしの顔は真っ赤になる。



「……今度、また抱っこさせてね」



あわわ……抱っこって!



そういえば、あれは……巷でいう、お姫様抱っこ。



溺れた出来事と朝野くんに抱えられてたことが衝撃的すぎて、今頃そんなことを思いだした。