あたしにかけてあるジャージは、乾いてる。



あたしに掛けてくれたんだ……優しいな……。



ぼんやりとそんなことを考えていると、あたしの視線に気づいた朝野くんが、優しく微笑んだ。



「彩花……気がついた!?よかった……」



「あ……あたし……どうしちゃったの?」



「ゴメン…あのとき、俺が余計なことしたから。彩花、さっきのこと…覚えてる?」



不安そうに尋ねてくる朝野くんを見て、プルプルと首を横に振る。



「パニくっちゃって……全然覚えてない。落ちた瞬間のことは覚えてるんだけど……」



そしたら朝野くんの顔がパアッと明るくなった。




……え?










「そっか……良かった。実はさ……」



朝野くんは少しハニかみながら、あたしから視線を逸らす。




次の言葉を聞いた瞬間……



あたしの頭は、真っ白になった。