「俺たち……もう、別れた」


「え…?」


彩花は…そのことを、まだ朝野に話してなかったんだな…。


手放しで朝野のところに行ったんじゃないってわかって、

少しでも、俺との間で揺れてるってわかっただけでもすごく嬉しい。  


とっくに…振られてんのにな。







「俺は…お前がしたことは、絶対に許さねーけど…。

彩花の気持ちを優先したいから……ホラ、コッチ着ろよ」


「え…ええっ!?」


戸惑う朝野に、さっきまで俺が着ていたジャージのズボンを指す。


「俺が助けるより…お前が助けた方が自然だろ?

彩花も…きっと、その方が喜ぶ…」


「い…いや、だけど……」


焦りまくってる朝野に、喝を入れるように大きな声を出す。


「俺から彩花をとったのは、お前だろ!?これから…彩花をずっと守っていくって誓えよ…。

じゃなきゃ、心配で…俺、お前に彩花を渡す気になれない…」


ホントは、絶対にコイツには…いや、他の誰にも彩花を渡したくなんてない。


だけど今は…


彩花がそれを望んでないから。