「アイツ…怒ってるよ」


バッと横を見れば、すぐ側に上月くんがいた。


そんな中、伊織はあっという間に、友達と姿を消してしまった。


「だから今無視したの…?」


「彩花ちゃんに怒るっつーか…自分に対して怒ってる」


「…え?」


「なんかヒドいこと言ったって?」


「それは…あたしが…」


「もう……後戻りできないよ」


ズキッ!


恐れてた一言を上月くんに言われ、あたしの胸は押しつぶされそうなほど、一気に苦しくなる。








「アイツ…彩花ちゃんの前だと冷静でいられないって。だから…もう、関わらない道を選ぶって…」


「関わらない……?」


「だから昨日、忠告したのに…」


「…………」


「もう自由じゃん。好きにすれば?ま…もともとアンタは自由人だけどさ。

今度は浮気にはならねーから、堂々と朝野と会えんね。おめでとーさん」


上月くんは皮肉っぽく笑うと、あたしの前から去っていった。