伊織はあたしを見て、ニヤリと笑う。


もうっ!イタズラっ子の顔だ。


ホントにアイツってぱ…。


「おい、今からちょっと顔貸せよ」


ええっ!?


そのままあたしの方へとズンズン歩いてくる。


「キャッ!」


腕を取られる…!!


そう思って身構えたら、



伊織はそのままあたしを素通りした。









……え?


「うーわ、やめろって!お前…くすぐったいからっ!!」


伊織はあたしの向こう側にいた男の子にすがりついて、ニヤニヤと笑っている。


あ…れ。


今のって、あたしの方を見てたんじゃないの…?


一気に力が抜け、その場にへたりこみそうになる。


だけど、聞こえてきたある人の一言で、身の引き締まる思いがした。