あまりよく眠れないまま、朝がくる。


起床時間がやってきて、あたしは仕方なく布団から這いでた。


「おはよう…大丈夫?顔色…悪いよ」



友達が心配そうにあたしの顔を覗きこんでくる。



そんな状態だからか、昨日のことについては誰も追及してこなかった。



…ちょうどいいから、あたしも黙っておくことにした。



だって…



きっと、またそのうち色々と質問攻めに合うはずだから……。









朝食会場では、伊織がたくさんの人に囲まれている。


「伊織ー!いつ来たんだよ!いないから、寂しかったぜ」


「お前がいると、みんなの雰囲気変わるな。合宿ダルいけど、なんかやる気でてきた」


なんて言われながら、輪の中心に君臨して余裕の笑みを浮かべてるアイツ。


「だろー?俺がいなきゃ、なんも始まらねーよな!」


なんて、いつも通りの俺様っぷりで、偉そうなことをほざいてる。



……なんだ、



大して傷ついてないんじゃない?



あたしの心配のしすぎだったのかも。



そうだよね、いつも伊織は一晩寝ればケロッとしていて。


前の日のケンカを引きずったことなんて、



ほとんどなかったはず。