中学生になったら、伊織の周りにはいつも女の子が群がっていて、



あたしのクラスでも、伊織の話題がすぐに耳に入ってくるようになった。



『伊織くんって、カッコい~!』だとか、『赤松くん、昨日〇〇スーパーで見たよ』とかね。



スーパーで見たって、どうよ!?って、まるでアイドルの話をするかのような同級生の感覚について行けなくて、



そんな友達を横目でみながら、あたしだけは普通でいようって思ってた。










だって、学校ではやたら目立ってるかもしれないけど……



家に帰れば、長くなった前髪をあたしのシュシュでくくって、寝転びながらお菓子を食べてマンガ読んで。



いつ洗濯したのかわからない、着倒したスウェットであたしのベッドで、勝手にお昼寝してたり……



なんてことも、しょっちゅうで。




これのどこがアイドルなの!?って、目を疑いたくなることが多々あった。