あたしが黙ってると、上月くんが立ちあがり、ズイと顔を寄せてくる。



「おい…人の話聞いてんの?」



「きっ……聞いてるよ…上っ面しか見てないって言われても…あたし鈍感だから、わかんないよ…。

昔からそうなんだよね。

あの子はイジワルだよ~って他の子に教えられても、いい子だって思って仲よくなっちゃう。

自分の中でだけ勝手に仲良くなった気分でいて、例え陰で悪口言われてたとしても……あたしは気付かなかったり…」



「ふーん…」



「伊織には、そーいうのは気付かない方が幸せって言われた」



「アイツ、言いそう」



「うん…だから、別に短所だって思ったこともないし、ここまで責められるとは思わなかったかな…」



「それで、騙されることになって…後悔しない?」








「騙されるって……朝野くんに?」



「そうじゃないけど。他のヤツらに。みんななにかしら猫かぶってんだから、ちゃんと見極めないと」



上月くんは呆れた顔であたしの顔を覗きこんでくる。